雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった(新潮文庫) 作者:燃え殻 新潮社 Amazon 燃え殻著。短い章のひとつひとつが、場面のそれぞれが妙に心に残る作品。著者とほぼ同年代の読者だからこそ共感できる何かが、それはきっと時代の記憶とでもいうべきものがあるの…

世界でいちばん透きとおった物語

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2) 作者:杉井 光 新潮社 Amazon 杉井光著。これはなかなか衝撃的な読書体験だった。序盤からぐいぐい引き込まれ、209ページを読んでいて思わず「ええっ⁉」と声が出てしまった。なるほど・・・そういうことだ…

言語の本質

言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書) 作者:今井むつみ,秋田喜美 中央公論新社 Amazon 今井むつみ、秋田喜美共著。オノマトペから始まる言語の本質に向けた探求の旅。(おそらく誰もが)疑問に思っていた「言語は最初、どのように生まれた…

成瀬は信じた道をいく

成瀬は信じた道をいく 「成瀬」シリーズ 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 宮島未奈著。前作で衝撃的登場を果たした主人公成瀬あかりだが、今回は続編なのでそこまでの驚きはなく、しかし相変わらず魅力的な主人公なのでさわやかな読後感であった。他人にどう思…

NHKラジオ深夜便 絶望名言2

NHKラジオ深夜便 絶望名言2 作者:頭木弘樹,NHK〈ラジオ深夜便〉制作班,根田知世己,川野一宇 飛鳥新社 Amazon 頭木弘樹著。前作が大変心に沁みる一冊だったので、続編も読む。もちろん読んでよかった。著者の視点が私は好きだ。 中島敦「あるがまま醜きがまま…

自分という壁

自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法 作者:大愚 元勝 アスコム Amazon 大愚 元勝著。和尚さんの講話を聞くような本。すべての内容に納得したわけでもないが(そんなことはあるはずもないので、部分的に納得できたのならそれでよし、ということが…

可燃物

可燃物 (文春e-book) 作者:米澤 穂信 文藝春秋 Amazon 米澤 穂信の短編推理小説。主人公は群馬県警本部刑事部捜査一課の葛警部。上司や部下、同僚からさほど人望があるわけでもなさそうで、いつも菓子パンとカフェオレばかり食し、そしてひたすら冷徹に現実…

NHKラジオ深夜便 絶望名言

NHKラジオ深夜便 絶望名言 作者:頭木弘樹,NHK<ラジオ深夜便>制作班 飛鳥新社 Amazon 頭木弘樹著。著者と川野一宇アナウンサーによるNHKラジオ深夜便の放送を書籍化したもの。番組そのものは聞いたことがないが、確かに深夜ラジオにふさわしい番組かもしれ…

それでも日々はつづくから

それでも日々はつづくから 作者:燃え殻 新潮社 Amazon 燃え殻著。日々の徒然ごとを描くエッセイ。ポジティブ過ぎず一歩引いてる感じで、しかし斜に構えたり世の中を呪詛するのでもなく、淡々とした日常を言語化される著者の目線が心地よい。同世代だからこそ…

カモナマイハウス

カモナマイハウス (単行本) 作者:重松 清 中央公論新社 Amazon 重松清著。空き家をテーマとした家族物語で、テーマにも興味が持てるし、流れるように話が展開して読みやすい。 時折ぐっとくる台詞なんかもあって、そこはさすが重松清だと思ったのだが・・・…

人生はそれでも続く

人生はそれでも続く(新潮新書) 作者:読売新聞社会部「あれから」取材班 新潮社 Amazon 読売新聞社会部「あれから」取材班による記事の書籍化。以前から、読売新聞に不定期掲載される「あれから」という連載記事が好きで、いつか書籍になってほしいと思って…

グラスホッパー、マリアビートル、AX、777

グラスホッパー (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon マリアビートル (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon AX アックス (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon 777 トリプルセブン (角川書店単行本) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAW…

週末の縄文人

週末の縄文人 作者:週末縄文人 縄・文 産業編集センター Amazon 週末縄文人著。ものすごく面白い。自ら縄文時代に戻って土器から竪穴式住居まで作ってみよう、という発想が素晴らしい。そして数々の失敗を乗り越えるふたりの友情は更に素晴らしい。読書を通…

毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集

毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集 作者:枡野浩一 左右社 Amazon 枡野浩一著。スゴ本の方のブログで紹介されていて手に取った本(感謝!)。たった31音の句なのに、どうしてここまで心を揺さぶられるのだろう。それは…

成瀬は天下を取りにいく

成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ 作者:宮島未奈 新潮社 Amazon 宮島未奈著。あっさりと読みやすく、何より主人公成瀬あかりが魅力的。著者は本作がデビュー作のようだが、続編も作成されているようなので続きが楽しみ。

読書について

読書について (光文社古典新訳文庫) 作者:ショーペンハウアー 光文社 Amazon ショーペンハウアー著。多読をするな、良書を繰り返し読め、原典を読め、古典を読め、新刊を読むな、最近の本は詐欺まがいの駄文売文ばかりだ・・・、と手厳しい。しかしながら、…

認知症世界の歩き方

認知症世界の歩き方 作者:筧裕介 ライツ社 Amazon 認知症世界の歩き方 実践編――対話とデザインがあなたの生活を変える (issue+design) 作者:筧裕介,issue+design 英治出版 Amazon 筧裕介著。偶然見たNHKの番組で興味を持ち、試しに読んでみたところ、これま…

地球の食卓

地球の食卓―世界24か国の家族のごはん 作者:ピーター メンツェル,フェイス ダルージオ TOTO出版 Amazon ピーター・メンツェル、フェイス・ダルージオ共著。これで、「地球家族」シリーズは三冊とも読み終えた。改めて、「一週間分の食事を見せてください」と…

うずまき

うずまき (ビッグコミックススペシャル) 作者:伊藤 潤二 小学館 Amazon 伊藤 潤二著。ひとつひとつのエピソードが怖いだけでなく、全体として壮大な物語になっているところがすごい。一番怖いのはヒトマイマイだろうか。蝶族(バタフライ族)が飛ぶシーンは…

プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンディ ウィアー 早川書房 Amazon プロジェクト・ヘイル・メアリー 下 作者:アンディ ウィアー 早川書房 Amazon アンディ・ウィアー著、小野田和子翻訳。すごい小説だ。SFであり、推理小説(自分の記憶を取り戻し…

ユーモアは最強の武器である: スタンフォード大学ビジネススクール人気講義

ユーモアは最強の武器である―スタンフォード大学ビジネススクール人気講義 作者:ジェニファー・アーカー,ナオミ・バグドナス 東洋経済新報社 Amazon ジェニファー・アーカー, ナオミ・バグドナス著。結論として、翻訳版で読むには不適な本だったかもしれない…

陽気なギャングは三つ数えろ

陽気なギャングは三つ数えろ (祥伝社文庫) 作者:伊坂幸太郎 祥伝社 Amazon 伊坂幸太郎著。「陽気なギャング」シリーズ第3作。今回も、しゃべくり響野が美味しいところを持っていく展開で素晴らしい。ただ残念ながら、成瀬達4人の物語もおそらくこれで打ち…

爆弾

爆弾 作者:呉勝浩 講談社 Amazon 呉勝浩著。読み応えのある本で、読後すぐ再読しだしたくらいにのめりこんた。本書は登場人物の輪郭が鮮明で、特に犯人であるスズキダゴサクの人格がはっきり描かれているのがとても良い。物語の良し悪しは悪役が決める。現在…

はだしのゲン

〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻 作者:中沢 啓治 汐文社 Amazon 中沢 啓治著。漫画の名作を子どもと一緒に全巻通して読もうシリーズ*1。長男も小学5年生になり、そろそろ「はだしのゲン」を読んでも良い頃合いだろう。歴史を観る視点に偏りがあろうがな…

陽気なギャングの日常と襲撃

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫) 作者:伊坂 幸太郎 祥伝社 Amazon 伊坂幸太郎著。「陽気なギャング」シリーズ第2作。一作目が面白かったので、安心して読み始めることができた。なるほどそうまとめるのね、お見事。という感想。文庫版特別短編も面…

陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) 作者:伊坂幸太郎 祥伝社 Amazon 伊坂幸太郎著。展開良く、読みやすく、大変面白かった。伏線の回収もお見事。何より、著者は「会話」の描写がとてもうまい。4人の会話をずっと読んでいたかった。本作は続編がある…

波よ聞いてくれ(9)~(10)

波よ聞いてくれ(9) (アフタヌーンコミックス) 作者:沙村広明 講談社 Amazon 波よ聞いてくれ(10) (アフタヌーンコミックス) 作者:沙村広明 講談社 Amazon

ザ・ファブル(1)~(22)

ザ・ファブル(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:南勝久 講談社 Amazon ザ・ファブル(22) (ヤングマガジンコミックス) 作者:南勝久 講談社 Amazon 南勝久著。知っていはいたが読んでいなかった作品のひとつ。先日、第2部の完結記念として第1部が…

増えるものたちの進化生物学

この記事を読んで、「読んでみよう」と思ってから一カ月以上経ってようやく読了(遅い)。自分では進んで手に取らないような本でも、熱量のあるレビューがきっかけとなって出会いが生まれるのだから、書評はありがたい。 blog.tinect.jp 市橋 伯一著。論理は…

句集 一人十色

句集 一人十色 (ヨシモトブックス) 作者:梅沢 富美男 ワニブックス Amazon 梅沢 富美男著作、夏井 いつき監修。毎週「プレバト」を観ているだけでは意識しないが、やはりこれだけの句集を作り上げるのは大変なこと。梅沢氏が俳句と真面目に向き合っていたこ…