雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

言語の本質

 

 

今井むつみ、秋田喜美共著。オノマトペから始まる言語の本質に向けた探求の旅。(おそらく誰もが)疑問に思っていた「言語は最初、どのように生まれたのか」「誰が最初に言語を作ったのか」「どのようにして人は言語を身に着けるのか」という問いに対し、本書はかなり納得感のある仮説を提示してくれる。キーワードは「オノマトペ」、「記号設置問題」、「ブートストラッピング・サイクル」、そして「アブダクション推論」である。

 

本書は前半のオノマトペに関する解説が長く、結構細かく、しかもこれが私にはあまり興味が持てない内容だったのでつらかったのだが、そこを乗り越えると次々に言語に関する本質的な問いに進み、話は深くかつ壮大なものとなり、最終的には「人間とは何か」という問いが出てくる。この、まるでミステリー小説を読んでいるような読書感が最高だった。「探求は、より本質的な問いを発見すること」といった名言も心に響く。良い本に出会えた。