雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

可燃物

 

 

米澤 穂信の短編推理小説。主人公は群馬県警本部刑事部捜査一課の葛警部。上司や部下、同僚からさほど人望があるわけでもなさそうで、いつも菓子パンとカフェオレばかり食し、そしてひたすら冷徹に現実を見つめ続ける。葛警部は笑わず、怒鳴らず、人を褒めず、卑屈にもならず、愛想も悪く、無駄口をたたかない。まるで人間味がない主人公なのだが、著者の無駄をそぎ落とした骨太な文体とあいまって、私はこの葛警部を大いに気に入ってしまった。著者には是非、続きを書いてほしい。