雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

人生はそれでも続く

 

 

 

読売新聞社会部「あれから」取材班による記事の書籍化。以前から、読売新聞に不定期掲載される「あれから」という連載記事が好きで、いつか書籍になってほしいと思っていたら本当に書籍化されていた。

 

ひとつひとつの記事について、「後追い取材」がしっかりされているのが良い。当時の事件として、それがどれだけ世間の印象に残るエピソードだったとしてもそれはその人の人生の一部分に過ぎず、人生はその後も続いていく。それは人によっては救いであり、別の人にとっては終わらない悪夢である。良いとか悪いとかではなく、事実として大切なのは、人生は死ぬまで続くということ。Life goes on.

 

本当は人生は多面体だが、他人からすると一面的に切り取らざるを得ない。私達はニュースなどを見て、第三者として(勝手に)他人の人生を「消費」しているが、当人にとっては、誰にどう思われようが自分の人生を続けなくてはならない。自分の人生は消費されないのだ。

 

本書に登場する22名、「日本初の飛び入学で大学生になった17歳」も「三沢に「最後」のバックドロップを放ったプロレスラー」も「赤ちゃんポストに預けられた想定外の男児」も、どの人も「今日のニュースの登場人物」ではなく、生きた一人の人間として描かれていた。