雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

 

 

 

アンディ・ウィアー著、小野田和子翻訳。すごい小説だ。SFであり、推理小説(自分の記憶を取り戻しながら謎が解けていく)であり、そして友情が描かれる物語である。最後には泣いてしまった。若干難解で、科学の知識が高校生程度で止まっている私には理解のレベルを超えることも多々あったが、なんとかついていけた(そんなことは気にならないほどに面白い)。何度も何度も絶望が訪れ、そのたびに苦労して乗り越える王道的な展開。過去と現在の振れ幅もあり、上下巻という長さではあるが中だるみは全くない。

 

これまで、私は宇宙というものを「暗闇が無限に広がる空間」くらいにしかイメージできていなかったが、読書後は、もしかしたら地球は宇宙に浮かぶ「奇跡の一人っ子」ではなく、私たち生命は宇宙内で「何か」とつながっているかもしれない、という可能性を感じられるようになった。傑作。