雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

センゴク権兵衛(16)-(25)

 

 

宮下英樹著。仙石権兵衛を描いた「センゴク」シリーズをこれまで通して読み直してきたが、全てはこの18巻および19巻のために描かれてきたのだろう。と、思えてしまうほどに、最高の盛り上がりを見せ、劇的なクライマックスに突入する。ゴンベエのこれまでの活躍、仲間とのつながり、失敗からの這い上がり、これらは全てこの小田原戦役の早川の虎口攻めに集約し、ゴンベエの生き様を見せてくれる。そう、本当に大事なのは結果がどうかではなく、生き様を示すことなのだ。

 

堀秀政が病に倒れて窮地に陥るが、可児才蔵や津田妙算が仲間に加わり、皆で死線をくぐってかろうじて生き抜く。仙石権兵衛の戦は、基本的にいつも辛勝だ。というより、「どうしてこれまで死ななかったのか」という戦を繰り返してきた男なので、今回の早川虎口攻めにも驚きはない。ただ、これまでの道のりを思い返し、カタルシスを感じてしまうのだろう。

 

そして秀吉と面談し、「ワシは許してないぞ」と怒られながら金の扇子を頂戴し、小諸の大名に復帰する。ここが「センゴク」シリーズの終着点であり、(連載中の著者には申し訳ないが)後はエピローグなのだろう。ここまでコミックスにして計70巻、同じく戦国時代を描いた傑作「へうげもの」とはまた異なる傑作だった。

 

センゴク」の舞台は安土桃山時代織田信長豊臣秀吉によって、武力による統治から銭の力による統治に替わっていく。仙石権兵衛のような猪武者にとっては、次第に活躍の場が失われていく時代環境だ。それにもかかわらず、ゴンベエは自分を貫いて戦国の世を生き抜いていく。だからこそ、読んでいて面白いのだ。

 

 

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