雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

センゴク権兵衛(1)-(15)

 

 

宮下英樹著。仙石権兵衛(秀久)を主人公とするシリーズ第4作。これまでの「成功物語」は、本作11巻からの大名復帰までの過程を描くための布石だったのかもしれない。・・・いや、さすがに布石にしては長すぎるのだが、そう思えるほどに戸次川の戦いで島津家に大敗して改易処分を受けてから高野山で過ごし、そして小田原征伐へ向かうまでの暗く、重く、そして辛い日々には読んでいて胸に迫るものがあった。

 

「どこにも向かえない」権兵衛の心のあり様を自分と重ねて読んでいると、無用のまま、駄目なまま、ありのままの自分を受け入れた上で、それでも生かされた命を、今を生きるしかないという、これは結局、現代にも通用する「人としての生き様」の話なのだと感じた。特に12巻の高野山での日々は、「センゴク」シリーズの中でも一番地味な展開だと思うが、ここをしっかりと描き切らないと次の奇跡につながらない。夜明け前が一番暗い、というやつだろうか。さあ、次巻からがまた楽しみだ。

 

 

 

 

irota.hatenablog.com

irota.hatenablog.com

irota.hatenablog.com