9月25日発売の週間モーニング、『カバチタレ』より。
行政書士を目指している主人公に対する台詞。
「人を助けたくてこの仕事を選んだなんて
ムシのいいことを言うのはいい加減にしたらどうなんだい」
「依頼者のために損害賠償の請求をすれば
その相手方は泣きながら賠償金を出すしかないだろ!
貸した金を返せと請求すれば、返せない人は泣きながら夜逃げするんだ!」
「もともと別の人間を泣かせて依頼者を助けてるだけの仕事じゃないか。
そんなことも気付きませんでしたっていうつもりかい?
法律家なんて相手方からみれば極悪非道の鬼。
それでいいじゃないか ばかばかしい!」
そうだ、そうだよ。
正義を達成する法律屋なんて、あるわけが無い。
誰かが勝って、誰かが負ける。それだけじゃないか。
多数派が満足すればそれが正義だって?そんな欺瞞を受け入れるのかい?
公正や正義を求める仕事って、どこかに矛盾があるはずだ。
仕事は、金をもらうためのものだ。
社会的意義なんて、副次的なものだ。
社会をもっと良くしていきたい、だって?
ちがうだろ、このトンチキ。お前にとって心地よい世界にしたいだけだろ?
お前のひとりよがりな態度で、独裁者気分でいるだけさ。
自分の正義が、他者にとって悪である場合なんて考えもしなかったのかい。
「お金以外の何かを大事に考えられる仕事に就けたことを誇りに思っています」
なんて台詞を得意気に吐いていた自分を殺したい。
なぜなら、そうした態度は結局、仕事に対して不満を持っている自分を
誤魔化しているに過ぎないのだから。やりたいことを見つけることが出来ずに、
生きるために仕方なく働いている自分に対する苛立ちは、社会奉仕などで
消えはしない。むしろ最近は、元々私が持つ傲慢さが強まってきている。
元来、私はとても自己中心的な人間で、それどころか唯我独尊的な態度を
あからさまにとってしまうような奴なのだが、何故か今まで数多くの
ボランティア活動に参加してきたり、人を傷つけないように振舞ってきたり、
他者の期待に応えてきた。
・・・本当は社会なんてどうでもいいくせに。
他人なんて関係ないと心の奥底で思っているくせに。
公正・正義の実現や、弱者支援なんて、口先だけなんだろ?
自分のやりたいことがこの歳になっても分からない。
そんな奴が、高級取りを羨み、かっこよさそうな仕事を妬んでみたり、
知名度の高い職業にあこがれたりしているのだから、救い難い。
ほんと、自分でもそう思う。
救えないよ。