雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

上海2日目

 ホテルのテレビでNHKの衛星放送を見ていると、中国産の食品で死者が出たという内容のニュースが流れていた。こういう報道も日本で見ていると「怖いなあ」くらいで済むのだが、現地で見ると、絶望的な気持ちになって、一体私はこんな国まで何しに来たんだと自問したくなる。


 というわけでホテルの朝食はバイキング形式、たくさん食べてバスに乗り込み、蘇州へ向かう。上海も近郊では私のイメージ通りの中国*1が残っているようだ。路上に屋台が並び、皆自転車で移動している。



 何やら古い寺院や景勝地をいくつか見学する。特に印象に残っているのは寒山寺。石碑に書かれていた詩がとても良かった。と思って今調べてみたら非常に有名な七言絶句らしい。

『楓橋夜泊』 張継


月落烏鳴霜満天
江楓漁火對愁眠   
姑蘇城外寒山寺   
夜半鐘聲到客船


月落ち烏啼いて霜天に満つ
江楓(こうふう)漁火(ぎょか)愁眠(しゅうみん)に対す
姑蘇(こそ)城外の寒山寺
夜半の鐘声(しょうせい)客船に到る

 解釈としては、どうやら、科挙の試験に落ちた張継が、寒山寺に流れる悠久の時間について思いを巡らせ、一度の失敗くらいなんだ、と思いを新たにした、といった内容らしい。まあ、それはさておき、私がこの漢詩を気に入った理由は二つあって、ひとつは語感が非常に良いということ、もうひとつは石碑に書かれた文字がとても美しかったということだ。意味も分からずに「良いなあ」などと言っていただけだったのだ。


 観光も終わり、昼食に。皆、早くも中華料理に飽き始めているようで、食べるスピードが遅い。原因はおそらく大量に使用されている油だろう。疲れた胃腸に、昼から油物はちょっときつい。ビールで流し込むようにして食べる。味は悪くないんだけれども。


 上海の市街地へ戻ってきたら、豫園観光である。ガイドさんの注意が非常に印象深かったので、メモしておきたい。

  • たくさんお店がありますが商品は偽物が多いので皆さん気をつけてください。
  • 商品が本物でも価格がとても高いことが多いので皆さん気をつけてください。
  • 食べ物に危険なものが入っている場合も多いので皆さん気をつけてください。
  • 街を歩いていると、泥棒(スリ)に狙われます。皆さん気をつけてください。


 ・・・どうしろと言うんだ。


 さて、豫園観光も無事終わり、夕飯(炒め物フルコースに限界間近。紹興酒で流し込む)の後は上海雑技団のショーを見ることに。ショーは1時間強くらい。小さい頃にテレビで眺めていたショーを、こうして実際に見ることが出来るなんてありがたいことだ。椅子を物凄く高く積み上げて座ったり、ハイレベルなジャグリングに柔軟系ポーズを組み合わせたり、金網ドーム*2の中を5台(!)のバイクが同時に走ったりと、「すげー」としか言い様の無い、まさにびっくりショーであった。これだけでも上海に来た価値はあったなと思った。

*1:ちなみに、私の中での最も根源的な中国像は、「ラーメンマン」byゆでたまごに描かれていた中国である。

*2:ラーメンマンとバイクマンが戦ったようなやつである。