河合雅司著。人口減少は、現在の子どもの数から考えると、少なくとも今後20年は減少することが確実だ、という前提に立って、日本がどう変化するのか、それにどう対応すかということを論じた本。「静かな有事」という表現が分かりやすく、毎日の変化は見えないので危機感が起こりにくく、「茹でガエル」のように気が付いた時には手遅れになっている。その未来をこれからの子ども・若者に背負わせるのは酷いと思うが、「当該未来を決定する選択をした者」はその未来には生きていない。
結局、人口減少を食い止めることはできないので、戦略的に(賢く)縮むしかないというのが著者の主張で、それはそのとおり。現代日本の最大の問題であるにも関わらず、現実を見ずに、格好の良いことばかり主張する者が多すぎるのでこの問題は進まない。「これまでの考えから脱却する」ということの難しさ、変化を厭う人の多さよ。