雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

宮島〜岩国

 新幹線で新広島へ行き、在来線に乗り換えて宮島口へ。駅を降りると、穴子飯ともみじ饅頭の看板ばかりである。どの店も元祖らしいのだが、さて。とりあえずは「うえの」で昼の弁当用に穴子飯を購入。弥山の頂上で食べる予定である。1,470円也。


 フェリーに乗って、海を渡る。宮島へ着くと、平日の9時台にも関わらず、既に結構な数の観光客がいて驚いた。ほとんどは修学旅行生のようだが。鹿が大人気である。私もつい写真を撮ってしまう。


 厳島神社へ向かう。かなり大きな建物であり、中へ入ると朱色の廊下が迎えてくれる。歩いているうちに、なるほどこれは世界遺産になるだけのことはあるなと思えてくる。廊下の美しさや海に浮かぶ大鳥居だけでなく、屋根のしなり具合、狛犬の表情など、見る角度によって異なる表情の厳島神社に出会うことができて、見ていて飽きないのだ。良く計算されているなと思った。


 境内では結婚式が行われている最中であった。こんな観光地で式をするのだから、ご本人も覚悟はできているのだろうが、式の途中でも容赦なくカメラのフラッシュを焚き、賽銭を放り投げる観光客が絶え間なく往来する様子を見ていると、何だか少し気の毒にも感じた。


 厳島神社を堪能して、外に出る。大鳥居を右手に見ながら松並木を歩くと、小さい社がひっそりと立っている。何だろうと見てみると、清盛神社と書いてある。これが平清盛を祀った神社なのか。何というひっそり感。この人も、一時期は日本の支配者になっていたんだよなと思うと、この小さな神社が何だかそぐわない感じもするが、まあ歴史ってのはそういうものかな、と妙な納得をしてみる。


 宮島というところは、確かに大観光地ではあるのだが、しかし繁華な土産店通りさえ避ければ、古い家並みが続く静かなまちであった。路地には小川が流れ、古い邸宅が綺麗に保存されており、そんな歴史的な景観の中で鹿が寝ている様子などはなかなか感じ入るものがある。途中、もみじ饅頭がばら売りされている店があったので買ってみる。出来立ての饅頭は、ガワも餡も温かく、とても美味しかった。


 しばらく歩くと、家並みから自然街道へ変わる。椛がとても多いので、秋はさぞかし綺麗なのだろう。鹿の写真などを撮りながら進むと、弥山へ登るロープウェーの駅に着く。残念ながら今日は風が強いために運行していないとのことで、弥山からの景観はお預けになってしまったが。引き返して、紅葉谷公園で昼食に。穴子飯はとても美味であった。レトロなパッケージもなかなか。


 昼食後、街中を散策する。特に印象に残っているのは豊国神社(千畳閣)と、その周囲の坂道だろうか。山桜がまだ咲いており、どこから見ても綺麗な景色だった。坂道が多いので、結構疲れたけれど。



 ほどなく、フェリー乗り場に着き、宮島を離れることに。良いところだったな、と感慨にふけっていると、対岸の港右手側にある大きな建物が目に付いた。・・・なるほど、島を歩いているときに聞こえてきたのはこのモーター音だったのか。宮島競艇場。次の電車まで少し時間があったので、ちょっとだけ遊んでみることにした。平日の競艇場は中高年男性の聖地。レトロとかそういう次元ではない独特の雰囲気だ。ここはまだ昭和、昭和84年。せっかくなのでレースにも参加。1レースはお試し感覚で購入し、スってしまう。いやいや、ギャンブルは負けて悔しいくらいの金額を賭けないとつまらない、と自分に言い聞かせて、次のレースは少しドキドキするくらいの額で購入。運良く勝ってしまったので、そろそろ電車も来るし、とニコニコ顔で勝ち逃げする。



 JR岩国駅へ行き、バスに乗って30分。バス停に着いたら正面に錦帯橋が見える。なるほど、これは風変わりな魅力を持つ姿だ。かなりの角度で勾配しているアーチが連なっており、独特の構造美を持つ橋である。最近立て替えられたばかりらしく、渡ってみるとその新しさに驚く。


 その後、吉香公園、吉香神社、岩国城を散策する。どこも錦帯橋ほどに派手なアピールポイントを持つところでは無いかもしれないが、いずれも綺麗に整備されており、落ち着いた風情のあるいい景勝地だと思う。岩国城天守閣(展望室)から眺めてみると、この小さい街の様子が良く分かる。半日もあれば、まあ十分に堪能できる手頃さも良い。


 少し疲れたので、「しろやま喫茶室」で休憩する。たくさんの花で飾られている、綺麗な店だ。コーヒーを飲みながら、店においてあったアルバムを見せてもらう。錦帯橋の立て替えの様子や、桜の季節の岩国がどれほど美しいのか等、堪能させてもらった。


 店を出て、錦帯橋を渡ってバス停に向かう。錦川と岩国城に挟まれた錦帯橋は、夕日に映えると荘厳さすら感じられる。立派な橋だ。途中、「平清」なる料理屋でこの土地の名物という岩国寿司を買ってみる。新岩国から新山口へ向かう新幹線で食べたのだが、なかなか美味しかった。蓮根が味の決め手なのだろうか。


 宿泊は新山口駅のホテル東横イン。最近のビジネスホテルはサービスが良くなったなあ。快適。