雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

萩2日目

 宿で自転車を借りる。萩は小さな町なので、観光には自転車が最適なのだそうだ。


 ということで、朝から自転車に乗って出かける。浜崎、寺町の伝統的建造物群保存地区(伝建地区)を通り、日本海を見ながら西に進む。本日は晴天、菊ヶ浜からの眺めが抜群に良い自転車日和。そのまま堀内の巨大な伝建地区をぐるぐると廻る。日曜日とは言え、さすがに朝8時では観光客もほとんどいない。この歴史的な街並みを存分に満喫できた。夏蜜柑がたわわに実っており、土塀と古い家並みとの色彩バランスが素晴らしい。有名な「鍵曲」も確かに面白いけれど、この堀内伝建地区は全てが100年前とほとんど変わっていないのだろう。これほど広い範囲で街並みが保存されているところはそうそう無い。周囲に高いビルなどもあまり無いので、どの通りもいちいち絵になる。というわけで、自転車が止まらない。





 存分に街並みを堪能したあとで、萩城跡(指月公園)へ向かう。緑と山桜のピンクがきれいな公園だった。ソメイヨシノもかろうじて生き残っていたかな。城跡へ登ってみると、小山が見える。指月山。麓へいくと、20分で登れるとの説明板がある。時間はたっぷりあるし、登ってみるかと軽い気持ちで進んでみる。急勾配なため、ちょっと疲れたが、頂上まで上がると昔の見張り場の跡地に出る。石垣の跡、草木で荒れた土地、そして少し近くに見える空。私以外は誰もいないこの広場は、まるで映画「天空の城ラピュタ」に出てくる一場面のようだった。隅から隅まで歩いていくと、一箇所だけ木々に遮られずに見通せる場所を見つけることが出来た。旧松本村の吉田松蔭墓所と、丁度反対側から眺める萩の街並みは、やはりその庭のような小ささが印象に残った。


 下山して、再び自転車に乗る。堀内〜平安橋〜平安古(伝建地区)と進む。平安古の見所は、旧田中別邸、かんきつ公園、そして鍵曲(堀内より平安古の方が個人的には好み)。この地区も、やはりどこへ行っても「絵になる」景色である。街並み保存というものの大変さを考えると、萩というのは、本当に奇跡的なところだと驚嘆してしまう。


 昼食後は、太陽の日差しを避けるために萩博物館へ向かう。企画展のタイトルは「萩・夏みかん物語」。学芸員さん(?)が気さくに話しかけてくれるので、色々説明してもらう。喫茶コーナーで食べた夏みかんソフトクリームはとても美味しかった。この萩博物館は、中の展示も面白いのだが、すごいのはむしろ建物自体である。あれほどの広大な敷地に、「伝建地区に相応しい博物館」を新設しようとするなんて、尋常ではない。そして、それを見事に成功させてしまうのだがら、凄い。白く美しい土塀に囲まれた建物は、広々として、荘厳で、あらゆるバランスが取れており、非常に立派なだった。


 その後、菊屋家住宅を見学した後で、また自転車に乗って江戸屋横丁〜菊屋横丁〜伊勢家横丁〜明倫小〜藍場川沿いを走り、桂太郎旧宅へ。必見なのは明倫小。小学校が、まるごと博物館のようになっている。こんな歴史的建築物の中で本当に授業が今も行われているのだろうかと疑ってしまうほど。


 というわけで、萩はどこも素晴らしすぎてキリが無い。建物も、自然も、食べ物も、そして人も全てが最高であった。お世話になった方々、どうもありがとうございました。結局夕方になるまで遊び続けて、バスを乗り継ぎ新山口駅から新幹線に乗ったのは20時くらいになってしまった。お土産は、もちろん夏みかん関連。