雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

(TBS)世界遺産  ビスカヤ橋(スペイン)

 録画していた「情熱大陸」と「世界遺産」を見る。どちらも良い番組だったが、今週の「世界遺産」は特に見応えがあった。場所はスペイン北部のビルバオという古い街。有名な鉄の産地であったことから、川には常に貿易船が往来している。そこにかかっている橋がビスカヤ橋。人も車も通れて、かつ船の邪魔をしないことという、難しい問題をクリアするために考え出されたのが「運搬橋」。橋から吊るされたゴンドラが移動する様子は、なんとも面白い。


 さて、今回の放送内容が特に良いと感じた理由は、橋だけでなく、街なみや人々の暮らしに焦点をあてていたことにある。特に興味を惹かれたのは、「女人禁制の美食会」の様子。男だけで料理を作り、飲み、食い、唄う模様はとても楽しそうだった。思うに、自然遺産は出来るだけ人の手が入るのを避けるべきだが、文化遺産は(地元の、そして観光に来る)人が守っていかなければ朽ちてしまうものだ。そして、この場合の「守る」という態度は、単なる義務や服従を超えた、その文化を理解し、尊敬し、誇りに思い、慈しむ、という、つまりは愛が備わっていなければならないのだろう。ビスカヤ橋という、時代遅れの構造物*1が今でも現役で動いているのを見て、そんなことを思った。


 歴史を持った未来都市。再開発はこうありたいもの。北部スペインか、一度行ってみたいな。

*1:中央から開く可動式の橋に比べると非効率的である。数多く建設された運搬橋が消えていったのは、おそらくそうした理由だろう。