雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

手紙

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 罪を償うことの難しさと、人を許すことの難しさと、この社会の中で(家族と)生きることの難しさ。それぞれに異なる「難しさ」を描いた作品。原作は東野圭吾(未読)。


 実はこの映画、落ち度がかなり目立つ。主人公武島直貴(山田孝之)とヒロイン白石由美子(沢尻エリカ)が二人の関係を築いていく「流れ」が抜けていること(会長の台詞の重みが無くなってしまう)、中条朝美が最後に見せる涙に代表されるあざとく、わざとらしい演出、そして沢尻エリカの違和感ある関西弁(標準語の設定で良かったのに)、更には「あの曲」をエンディングにもってくる抑制の無さ。


 と、ここまで書くとひどい駄作のようだが、実はこの作品、私はそれでも観てよかったと思っている。何が良いのか、それは後半30分のシーンに尽きる。この30分を観る為にこの映画はあると言っても良いだろう。特に武島直貴と緒方忠夫(吹越満)が会話する場面には完全にやられた。あんな短い、シンプルな、ある意味で「ありがち」な場面なのに、ものすごい涙腺破壊力。横隔膜がおかしくなるかと思った。


 結局は原作が良かったからに過ぎない、ということなのかもしれないが、しかし映画最後のシーンなどは、多分映像でなければ表現出来ない良さがあるとも感じた。武島剛志役の玉山鉄二も素晴らしかったし。