雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

 http://d.hatena.ne.jp/irota/20060517に「行ってみたい」と書いていた大絵巻展@京都国立博物館に行ってきた。日曜日で天気も良く、すごい人込みだった。入館まで50分ほどかかる行列に並び、ようやく入った後も中は人の山だ。その上、目玉の「源氏物語」「鳥獣戯画」は更に60分待ちだって(おーい)。絵巻の性質上、行列が出来ざるを得ないのだが、しかし途中で割り込む人が結構いたことに対策が打てたら行列もましになっていたのではないかなあ。展示の方法はもう少しなんとかならなかったのかな、と。まあ、あれだけの文化財を展示するのは、取り扱いに大変気を使うだろうから制約は多いのだろうけどね。


 期待していた以上に、展示品には大いに満足出来た。当時の風景、人々の生活の様子、色々な物語などと、見ていて飽きないものばかり。展示数も相当多く、2時間くらいはあっという間だった。十二支の動物が戦う「十二類絵巻」や(出家する狸がなんとも可愛い)、「病草子」や「酒伝童子絵巻」のグロさ(?)、下品で滑稽な「福富草紙」(失敗して帰宅した旦那がなんとも可哀想なのだ)など、私のような素養の無いものでも十分楽しめるものばかりだった。漫画喫茶に行くような、軽い気持ちで行けば良いのではないかと思う。


 私が最も見たいと思っていた「鳥獣戯画」は、行列のあまりの長さに諦めようと思ったが、実は列に並ぶ必要があるのは最前列で見たい時だけで、人の後ろから眺める(人と人の隙間から見る)だけなら十分に鑑賞できるのだそうな(なんだそりゃ)。というわけで無事拝めたのだった。ありがたやありがたや。いや、これはあれですよ、絵が飛びぬけて上手いと思う。兎を投げ飛ばす蛙のポーズは、ため息が出てしまう。うん、見てよかった。


 すでに教科書の写真などで同じ絵を見ているのに、何故本物を見ると感動してしまうのだろう。そのモノの、存在自体に不思議な感動を覚えるのは何故だろう。それはきっと、「過去」が実在していたことを実感するからだろう。この絵巻を描いた人がいて、ここに書かれた人がいて、この台紙を作った人がいて、そうした職人を雇っていたパトロンがいて、この絵巻を管理し続けた人達がいて。そうした人々の存在を、現代に生きる私が間接的にでも感じることができるから、私はこの絵巻展に行けたことを嬉しく思うのだろう。この企画を考案された方に感謝しつつ。