- 作者: 東山紘久
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
- 購入: 36人 クリック: 214回
- この商品を含むブログ (122件) を見る
人の話を素直に聞くためのルールを学ぶための本。素直に聞くためには、次のことをしてはいけない。
- 自分が話す立場になる。
- 自分の正当性を主張する/相手の間違いを指摘する。
- 防衛的な態度をとる。
- 客観的・評論家的態度で聞く。
…とまとめてみると、聞くということは、退屈で、苦痛な、ストレスのたまる辛い行為であることが分かる。従って、話をちゃんと聞くことができるのはせいぜいが1時間だと著者は説明する。
読んでいてなるほど、と思うところもいくつかあったが、これは必ずしもコミュニケーションに応用できることではないな、とも感じた。何故なら、私が人と会うときに期待するのは、単に自分の意見を言いたいだけでもなく、また相手の話を聞くためだけでもないから。対話というものは双方向の意志伝達が可能になって初めて実りあるものになるわけで。
この本にかかれていることを身につけることが役に立つ場面は結構多いとは思うし、素直に人の話を聞くことで相手が喜ぶならそれ自体は悪いことではないだろう。ただ、そもそも会話というものに何を求めるか、という一番大事なポイントを著者は見逃してしまっていると感じた。そういう意味で、この本で述べられているような「聞く技術」を万能のコミュニケーションツールとして用いるのは大いなる失敗の元だと思う。