雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

家族ゲーム

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 基本的に、素晴らしい作品のみ批評する方針をとっているが、これは例外。鑑賞後に、何か言わずにはいられない気持ちにさせられる。要は、悪趣味なのだ。人間の不愉快な側面や、家族や社会システムの嫌なところ、そして煙突と工場が並ぶ殺風景な風景などを、様々な演出を駆使して観客に見せ付けて、不快な気分を高まらせた上で、全てぶち壊しにしてしまうのだ。といってそこにカタルシスや爽快感があるわけでもなく、くだらない日常がまた復活してしまい、すっきりしない気分のままで映画は終わる。


 ブラックコメディとしては、まあ成功しているのかもしれない。しかし、やはり作品の基調センスが悪趣味なので、賛美するわけにはいかない。私が「ピンク・フラミンゴ」や「ソドムの市」、「アンダルシアの犬」、「イレイザーヘッド」に対して抱いている気持ちと同じか。あと感じたのは、演出が奇を衒い過ぎているということ。「鼻につく」という表現がぴったりだ。古い作品だからという言い訳はあまり認めたくないところ*1


 まあ、キャスティングは完璧だと思うし、ラストの食卓シーンは確かに素晴らしい。何とも評価に困る作品だが、とにかく何か言わなくては気がすまない、という不思議な力のある映画だ。

*1:名作は古くとも新鮮である、ということはバスター・キートンの映画を観ればわかる。