雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

失われた貌

 

 

櫻田智也著。「ミステリが読みたい!2026年版」国内篇と、「週刊文春ミステリーベスト10 2025 国内部門」、そして「このミステリーがすごい! 2026年版」で1位を獲得したミステリランキング3冠の作品。主人公は警察官、日野雪彦。頼りなさそうな中年男性が、その冷徹な思考の中で真相を暴く王道のミステリー小説。最初は全く見えなかった真相が最後に示され、頭から再読するときに物語の構造や伏線の意味がくっきりと分かるのが、著者の視点(物語の設計図)が見えるようで楽しい。

 

本物語の味付け(にしてキーマン)は、バーのマスターだろう。このマスターとの会話こそが、鬱屈としたこの事件の展開に添える人生のスパイスだ。

「乾杯するほど、充実した日でもなかった」

「急にどうした。それでも今夜を楽しむ権利くらいあるさ」