雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

北野天満宮、高山寺

 友人が北野天満宮の梅苑の入園券を持っていたので、天気も良いし外出することに。やたら混んでいる市バスを避けてJRバスに乗る。天満宮は人でいっぱい、梅が目当ての人もいるだろうが、それにしても多い。受験生はこの時期にまだ神頼みなのか、早く帰って勉強しろよ、とぼやいていたら友人に「合格して御礼参りに来ているのでは」と指摘された。なんと律儀な。古いお守りなども「返却」する場所が設けてあったりして驚く。日本人は意外に信心深いようだ。


 境内の梅を楽しんだあと、梅苑に入る。白と赤と緑と桃色が入り乱れ、青い空に良く映えていた。根元が赤で花びらが白、この取り合わせが梅の美しさを最も良く感じさせてくれると思う。桜と異なり、強く甘い香りも楽しめるところが梅のいいところ。休憩所以外は特に混雑しておらず、のんびりと楽しめた。


 前から行きたいと思っていた円町の「il piatto(イルピアット)」で昼食を食べる。カウンターだけの小さい店で、そこが良さでもある。気楽さというか。もちろん、味にも値段にも満足。場所柄、なかなか行けないので、今回行けたのは幸いであった。


 またもJRバスに乗って30分、竜安寺仁和寺にも降りず、念願の高山寺へ向かう。何が念願なのかというと、私は鳥獣人物戯画巻*1(特に甲巻)が大好きであり、その絵巻が伝わってきたところということで、どんなところなのか一度行ってみたかったのだ。まあ、実際の絵巻は国立博物館に寄託されているのだが。


 果たして、高山寺は人里離れたところにぽつんと存在していた。バス停を降り、立派な杉に覆われた山を登っていく。物寂しいが、神聖な雰囲気だ。坂を上りきると、金堂に着く。この冬はさぞかしよく降ったのだろう、雪が金堂の周囲にまだ残っていた。丸みを帯びた屋根が美しく、無駄の無い全体像に見惚れてしまう。無粋な看板も、コンクリートも観光客もほとんどない。こんな山奥にひっそりと、しかし一種の完璧な形で存在感を誇示しているこの建物に、杉の合間から木漏れ日が注いだとき、私は自分でも不思議なくらい感動してしまった。


 境内をぶらぶらと歩き、国宝の石水院に入る。鳥獣戯画の複写が置いてある。何度観ても面白いなあ。蛙の立ち姿といい、兎の表情といい、なんて素晴らしいんだろう。少し疲れたので、古びた赤い絨毯に座り休憩する。障子の木枠を額縁に見立てて景色を楽しむ方式は、同じく京都は大原の宝泉院と同じ。美しい。今日が晴れていて良かった。まだ少し寒いが、確かに春は近いようだ。冬でもこれだけ景色が綺麗なのだから、恐らく紅葉の時期は混雑するのだろう。


 ということで、休日を満喫してしまった。最後に、「阿留辺幾夜宇和*2」で有名な明恵上人の歌を。

あかあかや あかあかあかや あかあかや
あかあかあかや あかあかや月

*1:参考:鳥獣戯画 画像

*2:素敵な写真はこちらを→http://easykyoto.exblog.jp/3822966/