雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

興福寺

 奈良へ行ってきた。公園に野生の鹿がいる景色は、世界中で奈良だけ*1ではないだろうか。よく人になついていて、のどかな気分になる。


 今回は、国宝特別公開中*2興福寺を拝観してきた。現在中金堂再建中ということで、境内中央部が寂しい状態なのだが、興福寺全体の魅力は相当なものだと思う。特に感動的なのは、ここの五重塔の美しさ。なんとも綺麗な形をしていて、周囲との調和も見事なものだと思う。他の建物も、北円堂をはじめ、なかなか荘厳で美しいものだ。ここに金堂が再建されたら、もしかして日本屈指の美観を持つ名刹になるのではなかろうか。


 また、美術品についても感動的なものが多数ある。といって、私に日本文化史の知識があるわけではないので、あくまで見た目が素晴らしい、という話に過ぎないのだが。木造千手観音立像、木造無著・世親立像、乾漆阿修羅像などに見とれてしまった。中でも私のお気に入りは木造天燈鬼・龍燈鬼立像で、この何ともユーモラスなポーズと表情、生き生きとした筋肉の表現には参った。これまでも写真で見たことはあったけれど、本物はやはり何かが違う(いや、単に写真だと小さい枠に押し込まれるから魅力が失われるということか?)。


 奈良といえば大仏、というくらいの認識しか無かったので、今回興福寺の魅力を発見できたことはとても貴重な経験だった。見学の時間があまり無かったことが残念だが、まあ仕方ないか。最後にひとつ、今日学んだ豆知識:千手観音の手は42本しかない。中央で手を合わせて祈っている2本の腕を除くと、40本。そして一本の手で25の世界を救うことが出来るので、40×25=1,000ということだそうだ。仏像の存在理由が世界を救うことと考えるならば、千手観音自身に手が千本ある必要は無いわけで、「千の世界を救うことが出来る」ことにこそ意義があるのだろう。面白い。