仕事の関係で、古い集落を廻る。実際に行ってみて気付いたのは、その暮らしの美しさ。歴史を重ねた重みのある建築に、統一感のある町並み、古い集落ならではの無名だが立派な寺、家屋の配置効率を追わないことによって得られる入り組んだ路地や水路などのゆったりとした雰囲気。もちろん、そこから分かるのは住人の方々の日常的な配慮と行動だ。創意工夫と継続的な尽力が感じられ、これはすごいことだなと思った。
日常の感覚では、そうした面倒や窮屈さを重視してしまいがちである。しかし、暮らしというものを長期的に捉えた場合に、皆で協力して美しい町を創るという選択をした人たちはもっと肯定的に評価されていいのではないか、とも感じた。