雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

卵をめぐる祖父の戦争

 

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

デイヴィッド ベニオフ著、 田口 俊樹訳。素晴らしい作品。主人公が軍隊に捕まり漆黒の牢屋に閉じ込められる場面、ナチスが文字が読める者と読めない者に捕虜を分ける場面、そしてクライマックスのチェスの場面と、没頭してページをめくり続けていた。

 

読みやすく、ユーモラスに描かれているし、主人公(祖父)にとってはハッピーエンドなのだが、読了後に強く印象に残ったのは戦争の悲惨さとみじめさである。レニングラード包囲戦という背景もあるのだが、人は常に飢えていて、そして簡単に死ぬ(殺される)。それが戦争であり、非常事態における日常風景なのだ。