山崎豊子著。今日で日本航空123便墜落事故から37年。本書はこの事故を元にして書かれたものだが、とにかく長かった。物語上重要でもなく、かつ伏線にもなっていない場面が多くあり、正直なところ、もっと短くまとめられたのではないかと思う。
しかし、ここまで長く描いたからこそ御巣鷹山事故のリアリティが表現できたのであり、また組織の冷徹さと理不尽さ、政治の腐敗、企業の倫理欠如などを、これでもかというほど執拗に描かれていた。また、一度貼られたレッテルというものが、いかに剥がすことが難しいかも表現されていた。しかしJALはこんなひどい会社だったのだろうか・・・。
残念ながら、「半沢直樹」のように苦しみ続けた主人公が最後には倍返しで逆転勝利、とはならず、なんともすっきりしない終わり方ではあるが、それもまた、現実はこういうもんだよなという諦念をしみじみと感じ、読後感はそれなりの満足感であった。