雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

人生パンク道場

 

 

町田康著。私は人生相談の本を好んで読むが、基本的に相談内容にはそれほど差はなく、面白い本になるかどうかはひとえに回答者の力量による。この場合の力量とは、単なる文章力やウィットに富んだコメントを指すのではなく、どれだけ相談者の悩みを掘り起こせるか(悩みの本質にたどり着けるか)、その悩みに真摯に寄り添いつつ同時に回答者ならではの答を示せるか、という力である。回答者の人生観が全面に出るから、人生相談本は残酷なほどに*1面白い。

 

本書においても、各相談(お題)に対して著者が真剣に悩み、必死に自分なりの答を出そうと苦心している様子が伺える。町田康の場合、本質を深くとらえて、根源的に考えようとすればするほどに、一般的な常識とはかけ離れたおかしなコメントが「降りてくる」のだろう。

*1:面白くない人生相談は、回答者自身がつまらない人間であることを提示してしまうということでもある。