雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

異邦人

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)


 刑が確定してからの文章は、これはなかなか書けるものではないな、と感じた。主人公のあまりにも断固とした骨太な考え方には共感できないが。しかし、一方でこんな考えで生きることができるならば、きっと後悔なんて言葉とは無縁の人生を送ることができるのかもしれない、などとあこがれてしまうのも、また事実なのだ。

 人々が無闇に意味づけをしたり、物語をこしらえたりする一方で、現実は失われていく。しかし、「私が生きる」ということは、そのようなこととは無関係なことなのであって、従って私が死ぬということも、彼らとは無関係なことなのだ。