- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2006/08/25
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作品に関しては特に言うこともない。もちろん主人公の勇気や考え方には素晴らしいと思うけれども、多分、これは映画という作品として評論すべきではなくて、こういう映画については、おそらく全ての鑑賞者は「事実」について色々思うのだろう。こうしたテーマを取り上げることに意味がある、ということだ。
ただ、この映画を観ても虐殺の社会的原因も、武器と金の供給者も分からないし、主人公が去った後のルワンダの状況も、現在進行形で起きている他の虐殺事件の事実も知り得ない。じゃあこの映画を観た2時間は一体何だったんだろうか。単に「他の地域で事件が起きていても、自分に助けるメリットを見出さなければ誰も行動しないことが原則だ」という救いの無い事実を認識することか、それとも「ツチ族を辞めるから殺さないで」という根源的なメッセージを前にただ無力感をかみ締めるだけか。映画の観客などに何が出来るわけでもないしね。きっと私も明日になれば、今日の感情など忘れ去ってしまい、テレビの画面を見ながら「怖いね」と言ってディナーを食べたりするんだろう。
生きることは難しい。自分の家族を守ることはもっと難しい。他人を助けるなんて尚更だ。この発想を単純に広げていくと、国が平和であることは奇跡的なことなのかもしれない、と思う。この映画を観て、自分に何が出来るのだろう、と自問しても何も出てこない。私はすっかり落ち込んでしまったので、他の人のレビューを紹介して終わりにしよう。