雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

友情

友情 (新潮文庫)

友情 (新潮文庫)


読み始めてしばらくして結論が見えてしまい、楽しめなかった。残念。


「この世にたったひとりの運命の人」の存在は肯定も否定もしないけれど、それに出会える確率が低いことくらいは私にも分かる。可能性としては100億分の1くらいだろうか?そんなくじはひきたくもない、と思うのだが。


ある人の印象は、ほとんど第一印象で形成されてしまう、という記事を読んだことがあるし、それはきっとそうなのだろうとは思うが、幸いなことに私達は変わることが出来る。むしろ、変わらずにはいられないと言った方が正しいか。変わらない部分もあるかもしれないし、望まない変化もあるかもしれないが、好むほうに変わることも勿論出来る。一目ぼれという短期決戦以外にも恋愛はきっと存在する。


自分の変化に合わせて相手を変える、という選択は一見合理的だけれど、そこにはひとつ落とし穴がある。それは、恋愛に必要な相互信頼は過去の体験の蓄積によって築かれるものだということ。もうひとつ付け足すならば、人はどこまで己の「物語性」を大事にするのか、という点を見落としている気がする。


勿論話は簡単ではなくて、残念ながら関係維持に固執すれば良いということにはならない。自分の、相手の、そして社会環境の変化にどう対応していけばいいのかは正直よく分からない。ただ、「これが正解」と決めてしまった時点で失敗が始まっている気がする。


上記の話は、「恋愛」を「友情」に変えても同じことである。いつか来る運命の出会いを待つのではなく、今すでに出会ってしまい関係を築いてしまっている人達に、ただただ深い縁を感じ、彼らを強く肯定するし、まだ未来に出会うであろう彼らをも肯定することしか出来ないのだ。