旅の平凡な感想などは一行で済ませてしまおう。
魚が驚くほどに美味しいとか、温泉は気持ちいい、とか。
強く思ったことをひとつ。
雪国の暮らしは雪に追われている、
生活が雪に規定されていると感じた。
夜、雪が降る。
積もる。
朝、雪かきをする。
夜、雪が降る。
積もる。
朝、雪かきをする。
その最中に吹雪になる。
積もる。
朝、雪だるま(高さ0.6M)を作る。
夜、雪が1M積もったので雪だるまは消えてしまう。
朝、雪かきをする。
これが最低3ヶ月続くのだ。
果たしてこの状態を「雪と共に暮らす」と言えるのだろうか。
雪国には歩道が無い。
車道の雪を全て歩道に積み上げるからだ。
だから車が無いと生活できないのだが、かといって
車道も快適ではなく、車は凍結した道路をのろのろ走るのだ。
ちなみに、3日放置しておくと車が雪に埋もれてしまう。
バスも電車も、当然の如く時間に遅れる。
彼らの生活は雪に飲まれている。これは小馬鹿にしているのではないよ。
私には到底受け入れがたい暮らしを当然のごとく人生に組み込んでいる人々
に対して畏敬の念を抱いているのだ。
ちなみに、一緒に旅した彼女は終始雪に興奮していた。
私は冬も雪も大嫌いだ。