夏も終わりが近づいてきた。高校野球を観て公園で野球をして昼寝をし、プールに入ってアイスを食べ、ビールを飲んで串カツを食べたら、夏の正しい休日と言えるだろうか。また月曜日が近づいてくることに怯えながら、夜な夜なスプラトゥーン2で遊ぶ。
やる気が起きない。
朝、出勤する気が起きない。それ自体は随分前からのことなので、改めて書くまでもないことかもしれないが、やはり出勤する気が全く起きない。仕事は生活を支えるためのもの、と割り切って働いてきたつもりだが、それにしてもモチベーションが低すぎる。
自分がコロナウイルスに感染するかもしれないと思うと、余計に家から出たくなくなる。それとも、明るい見通しが持てない社会全体の鬱々とした空気に飲み込まれてしまっているのだろうか。大勢の人が生死の境に立たされている中にあって、自分の仕事の意義の低さに心底嫌気がさしている、というのもあるだろう。もしかしたら、単に「だるい」という気分の問題かもしれないが。
さて、困った。
人生パンク道場
町田康著。私は人生相談の本を好んで読むが、基本的に相談内容にはそれほど差はなく、面白い本になるかどうかはひとえに回答者の力量による。この場合の力量とは、単なる文章力やウィットに富んだコメントを指すのではなく、どれだけ相談者の悩みを掘り起こせるか(悩みの本質にたどり着けるか)、その悩みに真摯に寄り添いつつ同時に回答者ならではの答を示せるか、という力である。回答者の人生観が全面に出るから、人生相談本は残酷なほどに*1面白い。
本書においても、各相談(お題)に対して著者が真剣に悩み、必死に自分なりの答を出そうと苦心している様子が伺える。町田康の場合、本質を深くとらえて、根源的に考えようとすればするほどに、一般的な常識とはかけ離れたおかしなコメントが「降りてくる」のだろう。
*1:面白くない人生相談は、回答者自身がつまらない人間であることを提示してしまうということでもある。
ゴールデンカムイ
[第1話] ゴールデンカムイ - 野田サトル | となりのヤングジャンプ
野田サトル著。名前くらいは知ってはいたが、なんとなく興味がわかずに未読だったこの作品、全話無料公開と聞いて軽い気持ちで読み始めたところあまりの面白さに読むのが止められなくなってしまい、大変困っている。おかげでこの週末、ずっと寝不足だ。
北海道を舞台とした金塊の奪い合い、誰が見方で誰が敵か分からないままに話が進む。駆け引きと騙し合い、迫力ある格闘、切れ味抜群のギャグ(的の真ん中はドリフ世代の中年男性)。素晴らしい。
どの登場人物も個性豊かで、というかクセが強くて印象に残るが、中でも断トツなのは8巻に出てくる人皮剥製家の江渡貝である。そして、この「江渡貝くぅん」の登場によって、鶴見中尉の変態レベルが一気に上がり、かつその天才的な頭脳が読者に印象付けられる。これまで、鶴見中尉は「ヘルシング」に出てくる少佐のような切れ者の戦争愛好家だと思っていたが、それだけでにとどまらず、人たらしの才能、器の広さが読者に示される。「敵役が魅力的であること」が名作の条件であり、ゴールデンカムイの面白さは8巻でひとつの極みに達した(そして、相当程度の読者が離れた)ものと考えている。
東京オリンピック、開催(?)
コロナ禍の開催は断念せざるを得ないだろう、と思っていたが、気が付いたらもう始まっていた。テレビではソフトボールやサッカーの予選試合が放送されている。そうか、本当にやるのか、と驚いている。・・・本当に本当にやるのか?という気持ちでもある。どうも現実感がない。
それにしても、開催方針の決定も、観客の有無の判断も、あまりに遅過ぎた。オリンピックの開催に向けてこの数年間懸命に働いてこられた関係スタッフの労苦を、同じ「一労働者」の立場から想像すると、・・・あまりのつらさにリアルに想像できないほどだ。私ならまず絶対に逃げ出している。それに加えて次々に関係者が辞退あるいは解任されていく状況下にあるそうで、中の人はどんな思いを抱えて日々の激務に耐えているのだろうか。そんなことを思うと、あまりオリンピックを叩く気にもなれない。
残念ながら、数年前の、東京オリンピック開催決定時に想像していたような「夢と希望に満ちたイベント」は、もう消えてなくなった。この状況下で、無観客の会場で行われるスポーツを観ても、(応援はするだろうが)さほど盛り上がれないだろう。私自身は別にそれでも構わないのだが、子どもには永く楽しい記憶になってほしかったな、と残念に思う。・・・開会式もまだ行われていないのに変な言い方かもしれないが。