雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

影武者徳川家康(上)(中)(下)

 

影武者徳川家康(上) (新潮文庫)

影武者徳川家康(上) (新潮文庫)

  • 作者:隆 慶一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/08/31
  • メディア: 文庫
 

 

隆慶一郎著。関ケ原の戦い徳川家康が殺され、影武者(世良田二郎三郎元信)がその代役を務めたとしたら、という仮定の下に書かれた小説。以前、「スゴ本」の中の人が「徹夜小説」として紹介していたことで本作を知った(感謝)。ちなみに私が隆慶一郎という作家を知ったのは漫画「花の慶次」の原作「一夢庵風流記」なのだが、こちらは未読である。

 

関ケ原の戦いの後、江戸幕府を開き、征夷大将軍を秀忠に継いでから家康が死ぬまでの約15年間については、一般に大御所政治と言われ、大きなドラマはなかったと思っていたのだが、本書では全く視点が異なる。この15年間は、二郎三郎(家康の影武者)と二代将軍秀忠との戦いがずっと続いていたのだ。

 

「やはりどこか設定に無理があるのでは・・・」という思いが捨てきれないまま、上中下の三巻というボリュームを読み通すのは少々つらかったが、それでも最後まで面白く読めたのは、魅力的な登場人物のおかげであり、同時に、抗うことのできない歴史の流れ(宿命)を描いていたからなのだろう。