- 作者: 須田慎一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 新書
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悪質な消費者金融会社の実態、ヤミ金の怖さ、多重債務者の弱さ*1などは、確かに良く書けていると思う。借金は気軽にするものではない、というメッセージ自体には私も賛成したいし、チワワやアイドルのイメージ戦略に泳がされっぱなしの視聴者および「公器」としてのマスコミのあり方批判にも賛同しよう。
ただしかし、だ。金利を/借金を/闇金を/需要と供給を/どう考えるのか、またはどうするべきなのか、ということを真面目に考えようとする人には、この本はむしろ有害だ。告発本のレベルに抑えるならともかく、ジャーナリストが勧善懲悪を書いて何の意味があるのかさっぱり分からない。正義の味方に立つ(もしくは勝ち馬に乗る)のは気持ちの良いことかもしれないが、新書という薄い分量であるにも関わらず、何度も同じ事をそのまま繰り返したり、無駄に感情的な言葉を使って煽るので、読み終わる頃にはすっかり洗脳されてしまう。
著者からは「多重債務者をどうにか助けたい」という思想がほとんど感じられない。大切なのは、「どうしても即時かつ無担保でお金を借りたいという人に対して、どのような仕組みを構築するべきなのか」ということなのではなかったのか。金融業界の恐ろしさを知りたければ、我々にはすでに「ナニワ金融道*2」という名著があるのだから、経済ジャーナリストの著者にはもっと踏み込んだシステム論を書いて欲しかった。
金利および消費者金融については、下記のbewaadさんのリンク先を通して読むと、相当勉強になった。いんたーねっとすごい。