
- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/12/18
- メディア: 新書
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「純粋理性批判」など挑戦しようとしたことすら無いのだが、なんとなくカント個人に興味を持っていたので読んでみた。これでカントの批判哲学が少しでも理解できれば、と思ったのだが、ほとんど何の関係も無く、本当にカント個人についてのみ書いてある。
読み物としては、まあ面白い。理由は、主題となっているカント自身が何とも独特の考え方を持っている面白い人だから。それだけ。どういう読者層をターゲットにしたのだか分からない本だ。カントマニア向けの本だろうか。ニッチ。とりあえず個人的に印象に残った部分を引用しておこう。
啓蒙とは、人間がみずからに責めのある未熟状態から脱出することである。未熟状態とは、他人の指導がなければ、みずからの悟性を使用する能力のないことである。この未熟状態はみずからに責めがある。というのは、この状態の原因は悟性を欠くことにあるのではなく、他人の指導なしにみずからの悟性を使用する決意と勇気を欠くところにあるからである。
したがって、あえて知れ!
自分自身の悟性を使用する勇気をもて!
これこそ啓蒙の標語である。
『啓蒙とは何か』
「あえて知れ!」って、すごい言葉遣いだ。かっこいい。