「仕事について書きたい*1」と言ってから大分時間が経ってしまったが、久々に休みが取れたので少し書いてみよう。
先月のNHKスペシャル「フリーター漂流」は私も見ていたが、確かにひどい実態を映していた。多くの安労働者で仕事を回している請負会社と人材派遣会社との悪いところを足し合わせた業者と、そこで働く人々の様子。一ヶ月働いて月給7万円だったり、40過ぎた大人が単純作業(基盤の裏に特殊インクを塗るだけ)を一日中やらされたり、メーカーの製造ラインが変更になるたびに仕事も職場も変わる姿・・・。
「なんだこの派遣元の業者は、ひどいところだ」等と怒るのはおそらく筋違いで、バイト派遣業者は単にそれが合法的に金になるから参加しているだけだし、メーカーもバイト派遣を必要としているし、その商品を買う私もその恩恵を受けているのだから。
「なんでこんなところで働くんだろう」という疑問も、今正職員だからこそ言える一時的な台詞であって、じゃあ「自分は近い将来解雇されたときに再就職口がすぐにみつかるような労働者だろうか」と自問したときには他人事で無いことに気付いてしまう。
厚生労働省によると、2003年度の労働組合の組織率は19.3%とのこと。この組織率は年々落ちているのだが、じゃあ労働組合に頼らなくても企業に立ち向かえるくらい労働者は強くなったのかというと、ここ数年の失業率の高さをみれば分かるように、景気が悪けりゃ解雇されるという鉄則はむしろ表面化している。だったらなぜ労組組織率が下がるかといえば、つまりは時代に適用していないからなんだろう。一律ベースアップも春闘も憲法9条護持も、今の労働者の需要に答えていない。一部のお人好し労働者達は「いや、労働者が集団を作って使用者に立ち向かうのは必要なことだよ」なんてろくに考えもせずにぬけぬけと語るけれど、今の労組ではあなた方を守ることは出来ないことに気付いてほしい。経営改善のために労組は一体何が出来るか、ということに明確に答えられない労組なんかいらないんだよ。
おっと話が逸れた。労働者を守る環境が弱まっているという話だったな。
- 使えない労働者は解雇される
- 会社はいつか倒産する
労働者はこの2点を常に頭にいれつつ働いていかなければならない。少なくても私は今の会社と「君を必ず定年まで雇用するから」なんて契約をした覚えはない。んで、対策は以下のようなところか。
- 会社の繁盛を支える(旧来の考えかた)
- 転職に対応した能力を育てる
- 副業を持つことでリスクを分散させる
- 起業して雇用者になる(まあ、別のリスクを生み出すのだが)
一方で、労働者とて人間である。仕事は楽しい方が良い。そして仕事を楽しむにはおそらくそれに真剣に熱中することが必要なんだろう(し、誰だって楽しい仕事とかやりがいのある仕事になら熱中したいと思うだろう)。リスクに備えて逃げ道を確保しつつ、目の前の仕事に集中するにはどうしたらよいのか、とここまで考えて答に詰まってしまうのだけれど、一方でここまで全て労働者個人に責任を負わせるのは変だとも思う。まあ、変だろうが何だろうが自分の身は自分で守らなければならないわけで、悩みつつもなんとかしなくてはいけないのだが。
とりあえずまとめ。
- 労働者の序列化は進んでいる
- 労働組合は頼りにならない
- 今の仕事はいつ無くなるかわからない
- 対策は労働者個人が各自考えて実行しなくてはならない