雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

存在の耐えられない軽さ

存在の耐えられない軽さ [DVD]

圧巻の3時間だった。印象的な場面が多く、重厚な脚本で長さを感じさせなかった。主人公と、女性2人の恋愛劇に加え、チェコへのソ連侵攻から始まる政治統制がからみあい、人間の生き様を余すところなく見せてくれた。物語の基底にあるのは、人間の弱さと、愛情の激しさ。人として強過ぎるように見える主人公トマシュも、結局は流されて生きるしかなく、彼が「幸せ」と口に出せたのは最後だけだった。ようやく平穏の地を見つけた二人の生活に涙したが、最後の場面はつらかった(観たくなかった)。


人生は、儚い。儚い者同士だからこそ、激しく愛するのかもしれない。


この映画は、本当に脚本と演出が上手い。トマシュとテレーザの最初のラブシーン、サビーナと教授との別れの場面、サビーナとテレーザが裸で写真と撮りあう場面、そして二人が最後に「6」の番号が記された部屋に入る場面。どれも素晴らしく、印象深い。


そして、やはりテレーザ役のジュリエット・ビノシュが光っている。ゾッとするほどの美しさと可愛さだ。先に『ショコラ』を見てしまったので、あまり印象に残らない女優さんだと思っていたら、この映画のビノシュはすごい(ちなみに、レナ・オリンも同じく『ショコラ』で共演している)。顔も身体も、動作全てが輝いてます。