- 作者: 垣根涼介
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2003/08
- メディア: 単行本
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垣根涼介著。歴史的事実を背景にした、個人と国家とを描く小説。大変に素晴らしい。こういう小説と出会えて幸運だとすら感じた。怒りと哀しみと恨みの蓄積、そしてそれが昇華されゆく様はとても興奮するし、カタルシスを感じた。
戦後日本における移住政策の実態は、棄民政策であった。全ての日系移民が「捨てられた」わけではなく、移住の結果、努力して成功した日本人も確かにいる。それでも、遥かなる大地に誤った憧れを抱かせ、その後は放ったらかしにした責任は、確実に日本政府と外務省にある。「この女衒野郎」という言葉は、極めて適切な使い方をされているのだ。
それはさておき、ブラジル人の生き方は良いなと思うし、じめじめとした日本人としてはラテン系に憧れてしまう。