- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー著。望月衛訳。経済学が世の中の出来事を説明する学問であるならば、この本はまぎれもなく経済学の本だ。インセンティブという切り口とデータ分析によって、物事についての斬新な、おそらくは正しい見方を提示している。また、読み物としてみても単純に面白い。
中絶と犯罪率についての話、そして子育てと親の役割についての話は、根は同じテーマなのだろう。結局、確率的にみれば、人は「生まれ」で一生が決まる。ここでいう「生まれ」とは、親から受け継ぐ遺伝子が半分で、もう半分は親や周辺の人々といった環境のこと。本を読んであげるとか、美術館に出かけるといった個別具体の行為はあまり意味を持たず、どういう親から生まれるかが子供の人生の大半を決める*1。
自分の実感としても、子は親をよく見ていると思う。本当に真剣に、じっと観察している。だから、親が一度や二度、何か教育的意義のあることを単発でしたからといって、それだけで大きな流れは変えられない。親の背を見て子は育つ。子を立派に育てたいなら、まず自分が立派な親になるべきだし、少なくともなろうと目指さなくてはならない。(遺伝子の話はともかくとして)「人は生まれで一生が決まる」ということは、そういう意味だと私は理解している。
*1:もちろん、あくまで確率の話であって、それを覆す可能性は誰にでもある。