雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

日本の食と農

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

 神門善久著。日本の農業は何が問題なのだろう、ということを学びたくて手に取ったが、実際、最適の入門書だったと思う。何故日本の農業は非効率なのか、そしてそれが何故改善されないか。その答えは農地制度にある。建前としては硬直的な農地制度を設けておきながら、実際には杜撰な農地転用を認める運用になっている。その結果、良い農地ほど農業以外の土地に転用されてしまい、もしくは農地転用への期待が高いために耕す気もない農地を手放さず、やる気のある農家が経営を拡大することが困難になっている。


 著者の素晴らしいところは、様々な問題点を指摘するだけでなく、それらへの対案を提示していることだ。基本的には、経済性の導入というか、功利主義的な施策がほとんどであった。仮にそれらが非現実的なものだとしても、私にはかなり妥当性のある対策だったように思う。