影武者が面白すぎる。こんな熱々のステーキを・・・手で・・・!
ジョン・ウィリアムズ著、東江 一紀翻訳。地味で、暗くて、しかし素晴らしい小説だった。生きることの熱量、そしてその裏にある悲しさが詰まっていた。
東江氏はこの作品が最後の翻訳。ドン・ウィンズロウの作品を多く翻訳しており、「犬の力」も「フランキーマシーンの冬」も彼の翻訳。壮大でありながら恐ろしく冷徹な文体で、ハードボイルドな世界に浸らせてもらえた。まだ若くしてお亡くなりになたのは、残念。
翻訳家としての最後の作品として「ストーナー」を選んだのは、主人公の生き様に感じるところがあったからだろう。派手ではない人生だが、それでも強い気持ちを胸に秘めて毎日を生きる、しかし人生は思う様には進まない。挫折と共に歳を経るのが人生だ。生きることは、なかなか骨の折れることだ。
訳者あとがきにあった、この言葉が胸に残った。
人は誰しも、思うにまかせぬ人生を懸命に生きている
西成活裕著。おおむね同じようなことを書いていながら、「「渋滞」の先頭は何をしているのか? 」の方が断然面白かった。渋滞は、ほんの少しの上り坂でスピードが落ちることから生じる。それを避けるには車間をあけること。早く前に行こうと焦る気持ちがかえって混雑を呼ぶ、という話。
難をひとつあげるとすれば、「江戸しぐさ」を肯定的に書いてしまっているところ。ジョークで取り上げている可能性もゼロではないが、仮にも渋滞「学」を謳う西成氏が、こんなトンデモ説を載せてはいけないと思う。
竹本昇監督。今年最強の寒波とやらで、雪は舞うし外は寒いしで、さすがに外遊びは無理となり、映画館に行ってみようかと誘ったところ、長男は俄然乗り気。それもそのはずで、生まれて初めての映画館だし、観に行くのは大好きなニンニンジャーとジュウオウジャーの映画とあれば、興奮いないはずがない。妻はモール内で買い物をするということで、父子ふたりで鑑賞。子供向けの映画だからか、それとも時間が約60分という短さからか、料金は大人1,200円とのこと。子供とあわせて2,000円なら案外安い。
大きな画面に室内に響き渡る音声、最近のテレビは(私の子供のころと比べて)画面が大きくなったものの、やはり映画館は非日常。次第に暗くなっていく照明も含め、長男はどうも落ち着かない雰囲気。とはいえ、作品が始まったらいつもどおり画面にくぎづけ、内容的にも大いに楽しめたようで何より。テレビと映画とDVDの違い、少しは理解できたのかな。
なお、本作品は2月から始まる新番組「宇宙戦隊キュウレンジャー」の番宣も兼ねているようで、ひとつの作品に3つの戦隊ものが登場するという詰め込みぶり。あっという間の60分だった。長男は映画鑑賞後も興奮冷めやらず、細部にわたって物語を反芻し、帰宅後も「戦いごっこ」を延々と続けるのであった。
なお、翌日は大雪。朝から雪だるまを作り、近所の子と雪合戦をし、大はしゃぎだった。一方の大人は寒さにやられ、体力を奪われ、翌日以降の出勤風景を想像してげんなりしていたのだが。