中野孝次著。「すらすら読める徒然草」の中で、著者が兼好と並んでセネカを愛読していると知り、本書を手に取ってみた。印象に残った言葉を抜粋してメモしておく。
自分の権能外のものは、全て借り物であり、自分の所有物だと執着してはいけない。我々のまわりに外面だけ輝いているものはすべて、子供でも、官職でも、富でも、すべてよそからの借り物なのです。外からやってきた喜びは、来た時と同じくすぐに去ってしまう。自分の権能外のものは手放し、むしろ自身の内なる善を見つけ、それを喜ぶのです。
貪欲は、心の病。所有の少ない人ではなく、渇望の多い人が、貧しいのです。足るを知る者には、少なすぎるということはない。足るを知らない者にとってだけ、いくらあっても十分ではない。
多忙を離れ、閑暇に進むべきだ。自分の時間を、他者に奪われてはならない。今日を、人生最後の日であるかのように生きよ。今、ここで生きること。未来に依存する者には、現在は無意味になってしまう。
人は生きている限り、いかに生きるべきかを学び続けなければならない。良く死ぬことを学べ。良く死ぬとは、平然と死ぬことだ。死は、善でも悪でもない。ただ、われわれが生まれてくる以前にそこへ在った安らぎの地へ、われわれを連れ戻すもの。
こうやって「つまみぐい」していると、一度は原本にあたる必要があると思われてくる。ということで、次は「人生の短さについて」を読んでみたい。