雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

徒然草を読む

 

 

上田 三四二著。重い病を患った著者は、その人生を見据えながら「徒然草」を読み込み、無常(誰しも死が目前に存在する事実を受け止めること)の中でどう生きていくか、兼好法師の思考を追っていく。

 

私は、こんなにも丹念に、これほどに深く書物を読み込みということをしたことがないが、著者のおかげで、以前よりもより「徒然草」が理解できた気がすると同時に、著者または兼好法師の人生観は、私のそれに「しっくりくる」ことが改めて分かった。

 

死は、いつもすぐ近くにいる。だからといって、天国や来世を信じるわけでもない。では、短い現世をどう生きるべきか。所願は妄想であり、諸縁を放下し、死を目前に見据えつつ、今を生きること。心身を閑かにして、しばらく楽しむこと。兼好法師の言葉が、上田氏の解釈によって心から理解できた。

 

本書は、中野 孝次氏が「すらすら読める徒然草」の中で紹介していたもの。中野氏も上田氏も共にもう亡くなっているようで、大変残念だ。