岸見一郎著。幸福である、ということは一体どういうことか。どうしたら人は幸福になれるのか。アドラーを中心に、多くの哲学者のことばを引き合いにして考えを導く書。
何故か私はこの本を繰り返し読んでいる。新書なので、それほどボリュームのあるわけでもないが、何度も読み返したくなる。それは本書の結論が気に入ったからでもなく、著者の考え全てに納得したからでもない。おそらく、著者の問題意識が私のそれと似ているからなのだと思う*1。
自分には、自由意思があり、外形的な力によって決まる受動的な存在ではない。したがって、自分の下した責任は、自分で負わなくてはならない。自分は、世界の一部である(中心ではない)。自分は、他者と共にある。・・・そうした前提を踏まえたうえで、はじめて幸福を論じることができる。
*1:「嫌われる勇気」を読んだ時も同じ感覚を抱いた。