雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

カラマーゾフの兄弟(上、中、下)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)


 年末年始を利用して読もうと思っていたのだが、結局3週間近くかかってしまった。これでしかも第1部が終わっただけとは(第2部は著者が墓場に持っていってしまったので存在しないが)。長い。長いよ。まあ、仮に倍の長さでも構わないのだけれど。文庫本の栞を外して、読書を再開するのがここ最近の楽しみだったので。


 大学時代、ある教授がドストエフスキーを薦める際に「ただし、彼の著作には毒があります。気軽に読むとかなりの衝撃を受けるので覚悟するように。そして、だからこそ若いうちに一度読んでおくことをお勧めするのです」とおっしゃっていたことを、読み進めながら思い出していた。


 キーワードは「全ては許される」ことであり、そしてそのことに人間は堪えられないだろう、ということだ。善良と淫欲の異なる2つの性質を併せ持つ「カラマーゾフ的人間」はもちろん全ての人間にあてはまるわけで、そのような人間にとって「自由」はあまりにも荷が重いのだろう。


 「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」、ひとりの作家がこの2冊を書いてしまうとは、すごい。私はまだこの2冊しか読んだことが無いのだけれど、今更ながらドストエフスキー恐るべし。この本は、ヴィトゲンシュタインが出征中に50回読んだという伝説があるが、確かに読み直す価値がある内容だった。いつになるかは分からないが、次回読むときが楽しみだ*1。それはさておき、ドストエフスキーの作品で今度読んでみたいのは「地下室の手記」と「賭博者」かな。しばらく先の話になりそうだけれど。

*1:新訳の文庫が現在進行形で発刊されている。文庫で4巻になるらしいが、相当読み易くなっているらしいので是非こちらも読んでみたい