雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

地下室の手記

地下室の手記 (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)


 何度読んでもドキドキする本。自分の醜悪な部分が何故かドストエフスキーによって描かれている。理性や長期的利益から外れたところにこそ人間性はあるのだろうが、そうすると当然人間は愚かしいということになる。そして、そうした愚かしさが執拗に描かれているのがこの本なのだ。
   

 うじうじとした決断力の無さ、妄想ばかりの臆病さ、虚勢という自己欺瞞、嫉妬、憎悪、残虐、愚劣、矛盾・・・そういったものから、きっと私は逃れることは出来ない。何故なら、それが人間だから。そうしたものを抱えて、しかもそれらと上手に付き合いながら「何とかしていく」生き方をするからには、この本は一種のバイブルになるかもしれない。


 やはりドストエフスキーは特別な作家だ。光文社から新訳も出ているらしい。