雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

営業マンは非人間的な話し方をする

 今日、とある訪問販売を受けた。聞けば、布団のクリーニング屋とのこと。
「年に一回くらいは布団を中からきれいにしてみませんか」
などと言われ、日頃生活が荒れ気味な独身労働者の私は関心を持って
しまったのだ。


 「只今セール期間中でして、クリーニング代がとてもお安くなってい
るんですよ」と営業担当(以下『¥』)が言う。おいくらですか、と問うた
ところ、「それは布団の質と状態によるので、一回お見せ願えませんか」
とのこと。当方が了解すると、技術担当の者(以下『@』)を呼んでくると
言うので、私は名刺を受け取り、布団を玄関に持っていき、待つ。


 @が来た。布団を見るなり、「ああ、これは駄目だ。カビてますねえ」
とのたまう。そして匂いをかいで顔をしかめ、「うん、これはカビだ。
いやあ、これ相当古い布団ですねえ、中身も化繊だし」なんておっしゃる。
失礼なやつだ、と思いつつも、確かにこれは結構年数経ってるし、日頃の
手入れもほとんど何もしてないしなあ、と私は考えていたのであった。


 @は布団に関する様々な話をして、それ自体は興味の持てる話だったので
ついつい聞き入っていたが、¥が話しだした途端に雰囲気が変わった。
「もうお客様の布団はカビ生えてますし、これを機会に買い換えてみませんか」
「どうせ買い換えるなら、長持ちするしっかりとしたものをお勧めしますよ」
「布団というものは、ちゃんとした品質のものは10万とか30万とかしますねえ」
「あ、と言っても私たちはお客様に何百万もする高い布団を売りつけようと
しているわけではありませんからご安心くださいね」
「ところで、私どもの会社は貸布団というレンタルの品も扱っているんですよ」
「高級布団も、月々たったの2000円からと、大変お得ですよ」
「更に今ならこのお布団を下取りいたしまして、値引きまでさせていただきます」
「ちょうど今、車に当社の製品積んでますから、持って来ましょうか?」
「それでは早速今晩から新しいお布団で寝てくださいませ」





 ・・・と、怒涛のセールストーク。止まらないとまらない。あうあう。
なんでクリーニング屋が布団を車に積んでレンタルしてるんだ、と聞いたら
何と¥は「わが社は寝具の総合商社ですから」とおっしゃいましたよ、ええ。
布団のレンタルって・・・前の所有者は誰なんだろう。




 何とか帰ってもらったが、しぶとかったなあ。



 すぐにPCをつけ、布団の相場を調べる。「それなりの、きちんとした」
羽毛掛布団のお値段は実売価格1〜3万くらいだった。一体どうやったら
30万の布団が買えるのだろうか。


 その後、名刺に書いてあった業者を調べる。実在していたことに驚いた。
しかも結構歴史があって、販売実績も相当なもの。ホントかよ!?


 ・・・訪問販売で無理やり購入させて、数十万円をローンで組まさせて
キャンセルしようとしたら怖い兄ちゃんが怒鳴りこんできて、消費者相談
センターに問い合わせて調べてもらったら実在しない会社だった、
なんていう良く聞く話の実例かと思ったのに。



 それはさておき、思ったこと。
プロのセールストークは、実に上手い。
止まらないし、効果的に煽って不安にさせるし、隙をなかなか見せない。
笑顔を絶やさず、こちらの逃げ道を奪う。
いやー、あれはお人よしのお年寄りなら簡単にひっかかるわ。
ああいう技術も、それ自体は大したものだと、感服した。