雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

愛という病

 

愛という病 (新潮文庫)

愛という病 (新潮文庫)

 

 

 中村うさぎ著。著者のエッセイは、男と女をカテゴライズした上で、基本的には男性への嫌悪感がベースにあるので、テーマは違えどある意味一貫した内容ではある。

 

 過激な主張をした後で自分を落ちにつかうあたり、文章の形式が固定化してしまっていることや、そもそも性別で人間をカテゴライズすること自体の可否について、また食傷気味なテーマの繰り返しなど、人に勧められるエッセイストではないものの、私は著者の本を定期的に読みたくなってしまう。

 

 おそらく、それは著者がこれまで歩んできた生き様からしか出され得ない発想や視点であったり、男性だからこそ自己批判として読んでおくべき(直接言われたら立ち直れないほどのショックを受けるような気もするが、文章で読むなら客観的に理解できる)内容があるからだ。普通、なかなかここまでズケズケとは書けない、というところを堂々と踏み込んでくるあたり、さすが中村うさぎだと思う。

 

 今回は、女性の愛はナルシシズムの反映(自己愛を投影し、このように愛されたいという願望が実現することをこそ望んでいる)だという見方、またセクハラは女性の性的な主体性を損なう点こそが問題だという意見等が、鋭くて明快だと感じた。

 

リラックス系プチ瞑想術

 

 

リラックス系プチ瞑想術 (だいわ文庫)

リラックス系プチ瞑想術 (だいわ文庫)

 

 

 宝彩 有菜著。瞑想の概念、目的、利点、方法などを基礎から教えてくれる教本。後半、若干怪しいところはあるが、概ね良くわかり、やってみようという気になった。もう少し別の瞑想の本を読む必要を感じている段階。

ヴィンセントが教えてくれたこと

 

 

 セオドア・メルフィ監督、ビル・マーレイ主演。偏屈なじいさんと隣人の子との交流物語。このじいさんが「聖人」と称されるに値するかどうかはさておき、子どもは色んな人とかかわる中で、良いことも悪いことも学び、成長していくんだな、ということを改めて実感する。どのような人にでも、その人独特の良さがあるわけで、そこに気が付けるかどうかは、それを観る人の心にかかっている。

 

 「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイも年を取ったものだ。こういう偏屈な年寄り役が非常にはまっていて、特に「心変わり」するでもなく、最初から最後まで自分のスタンスを歩み続けていたことが素敵だった。こういう年寄りになりたいものだ。

 

遥かな町へ

 

遥かな町へ (上) (ビッグコミックススペシャル)

遥かな町へ (上) (ビッグコミックススペシャル)

 
遥かな町へ (下) (ビッグコミックススペシャル)

遥かな町へ (下) (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 谷口 ジロー著。人間には、年齢を重ねなければ分からないことがあり、それは、私達が理解していると考えている世界はごく一部に過ぎない、ということでもある。そんなことを思いながら読んだ。

 

ダラス・バイヤーズクラブ

 

ダラス・バイヤーズクラブ [Blu-ray]

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 ジャン=マルク・ヴァレ監督、マシュー・マコノヒー主演。「死に行く不幸なサンプル」として扱われることに、命がけで抵抗した男の生き様。実話とのことだが、主人公の人物像が格好良く、脚本構成も素晴らしく、非常に見応えがあった。

 

 当時、エイズは不死の病とされており、感染が疑われるため接触も避けられるような差別を受け、ただ死を待つしかなかった。しかし、余命30日と宣告された主人公は、自分流のやり方で仲間を作り、闘い続けた。座して死を待つのか。一度の人生、抗い続けるのか。主人公は生きるために何でもやる。戦いの中で、何かが彼の中で変わっていく。私には、その姿がただ、ただ、格好いいと思えた。

七つの会議

 

七つの会議 (集英社文庫)

七つの会議 (集英社文庫)

 

 

 池井戸 潤著。仕事と生き様、組織と個人という、池井戸小説ではおなじみの展開。基本的に日本の会社は、または日本社会という組織は、内部からは変わらないし、外圧がないと変えられない。会社においては不正や隠蔽をしてでも組織を守る、と言いつつ、守られているのは体制の主流派に過ぎなかったりする。トップが悪い、役員が悪い、誰かが悪い、という理解よりも、組織という生き物の性質と考えたほうが分かりやすい。

 

 ところで本書、さくさく読み進められ、あっという間に読み終えることはできたが・・・不要なエピソードが多かった。主要な登場人物それぞれの背景や家族構成まで記載する必要はなかったのでは?設定を考えつつも、それを全て文章に記すのはどうかと。また、途中で出てくるドーナツ屋の話、不要では?もっと原島と八角に焦点を当ててほしかったかな。

勝ち続ける意志力

 

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

 

 

 梅原 大吾著。プロゲーマーという職業に興味を惹かれ、読んでみた。ゲームへの取り組み、自分で選んだ道への不安と戸惑い、挫折と回り道など、率直な思いがつづられていた。文章としては上手いと思えないが、プロゲーマーという一種の職人の言葉に触れられたのは、まあ貴重な経験といえるかもしれない。