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雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

蒼き狼

 

蒼き狼 (新潮文庫)

蒼き狼 (新潮文庫)

 

 

 井上靖著。中世のモンゴル、そしてアジア一帯から東欧まで勢力に収めた英雄テムジン(チンギス・カン)の人生を描いた小説。なぜチンギス・カンはあのように広大な領土を欲したのか、それは彼が「蒼き狼でありたい」と願い続けてきたからだ、というテーゼを中心に据えて、描き切っている。

 

 生まれは、誰も選べない。それは昔も今も同じこと。テムジンは、自分自身が誰の子なのかについて知ることを恐れ、だからこそ「狼」になることを誓い、己を律した。留まることを許さず、戦いのうちに一生を捧げ、奪いつくし、殺し続けた。モンゴル帝国は、何かしらの理想の世界を作るために生まれたのではなく、目に映る全てを欲する彼の征服欲によって生まれた。

 

 チンギス・カンには、主義も大志も人徳も関係ない。強い欲望を持ち、勝ち取る。その最たる成功例なのかもしれない。