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雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

流星ワゴン

 

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

 

 

 重松清著。本書は若干読み手を選ぶ。特に30~40代の男性で、幼い男の子がいる読者なら深く感情移入できるだろうし、間違いなく泣けてしまうだろう。そういう意味で、私は本書のターゲットど真ん中だった。

 

 子どもがいるので、その子にとって自分は父親であるが、一方で自身の父親から見れば自分は息子である。この両者はバランスがなかなかとれず、そしてそれは過去と未来が結ぶ「現在」の捕えがたさをも意味している。本書は、親でもあり、そして子でもある自分と向き合う物語なのだ。

 

 重松清は、家庭の崩壊と再生を描くのがとても上手い。「ビタミンF」を読めばそれは分かる。本書も、主人公の家庭は崩壊する。その崩壊の過程の中で、家族のもつ意味をまっすぐに見つめることは、辛いが大切な作業だ。過去はもうやり直せない、しかしもしもやり直せたら・・・、と誰もが思いつつ、貴重な現在を無為に消費してしまう。