雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

愛という病

 

愛という病 (新潮文庫)

愛という病 (新潮文庫)

 

 

 中村うさぎ著。著者のエッセイは、男と女をカテゴライズした上で、基本的には男性への嫌悪感がベースにあるので、テーマは違えどある意味一貫した内容ではある。

 

 過激な主張をした後で自分を落ちにつかうあたり、文章の形式が固定化してしまっていることや、そもそも性別で人間をカテゴライズすること自体の可否について、また食傷気味なテーマの繰り返しなど、人に勧められるエッセイストではないものの、私は著者の本を定期的に読みたくなってしまう。

 

 おそらく、それは著者がこれまで歩んできた生き様からしか出され得ない発想や視点であったり、男性だからこそ自己批判として読んでおくべき(直接言われたら立ち直れないほどのショックを受けるような気もするが、文章で読むなら客観的に理解できる)内容があるからだ。普通、なかなかここまでズケズケとは書けない、というところを堂々と踏み込んでくるあたり、さすが中村うさぎだと思う。

 

 今回は、女性の愛はナルシシズムの反映(自己愛を投影し、このように愛されたいという願望が実現することをこそ望んでいる)だという見方、またセクハラは女性の性的な主体性を損なう点こそが問題だという意見等が、鋭くて明快だと感じた。