谷口ジロー著。著者が犬と猫を飼っていた実体験を基にした作品。漫画だけでなく、エッセイも入っており、著者の眼差しが伝わってくる。
私も昔、猫を飼っていたことを思い出した。何かものすごい印象に残る出来事があったわけではなく、ただそこに猫がいる、ということで心が温かくなる、そんな日々だった。著者もエッセイで描いていたように、猫は死期を悟ると独りで死ぬという。私の猫も、最後はいつの間にかいなくなり、探したけれど遂に見つからなかった。悲しみと寂しさと、楽しかった思い出だけが残された。
孤独を癒すためにペットを飼うのは、人間の身勝手さの表れなのだろう。それでも、そのペットと共に暮らし、年月を経て家族となり、かけがえのない思い出が作られていく。人の弱さを補完してくれる存在と言える。
