ガブリエル・ガルシア=マルケス著。マコンド村を舞台にした、ブエンディア家の百年の物語。確かに、この小説は、最後にはちゃんと閉じる。しかし、それまでの長い長い過程を追うのは大変だった。あまりにも荒唐無稽、どこに向かうか分からない展開、そして親も子も孫も同じ名前ばかりで、私は読みながら混乱し、2回も挫折し、結局3回目の挑戦で最後まで読むことができた。
なるほど、確かに物語は収束したが、・・・それでも読語の感想は「わけが分からん」だった。読みながら、「この物語はどこへ向かうのか」とずっと思っていたが、結局「この物語はどこへも向かわない」だったので、一応はちゃんと読めていたのかな。
この本との最初の出会いは遥か昔、大学生の頃だった。ゼミの教授に連れて行ってもらったBarに「百年の孤独」という名の焼酎が置いてあった。当時は焼酎は飲まなかったし、もちろん学生なので高級な銘柄のお酒も知らなかった。それでも、その名前が不思議と印象に残って、教授にお願いして注文させてもらった。その香りと味わいにすっかり驚いてしまい、後日調べてその焼酎の値段に二度驚いた。その焼酎の名前が小説に由来すると知り、いつか読んでみたいと思っていた。そしてそれから何年もの月日が経ち、教授は亡くなられた。この本を手に取るたびにその教授を思い出し、読まなくてはと思いつつ、挫折を繰り返し、ようやく読了したもの。だから、例え感想が「訳が分からない」だったとしても、読み終えるまでに流れた何年もの年月を思うと、(さすがに百年は経っていないが)自分の中で味わい深い、一種の特別な読書体験だった。
